カウンター
俺の長い一日
おかんが何やら騒いでいる・・・
朝7時半頃、その声で目が覚めた俺は騒ぎの元へと向かった
ばあさんの寝ている部屋である
どうやら、起きないらしい
(どうせ寝てるだけだろ・・・)
俺はばあさんが嫌いである
ばあさんは認知症でかつ寝たきりと、この国のお荷物のイデアのような存在であり
子供の頃を俺をいじめていた、典型的ないじわるばあさん
俺が大嫌いだと知っているのに、庭先でトンボやバッタを捕まえては、俺の部屋までわざわざ持ってきて、嫌がる俺を見て嗤ったり
幼少の俺が作った折り紙のプレゼントを「何だこのゴミは」と言ってゴミ箱に捨てたり
小学校から帰ってきた俺を出迎えるのが面倒くさい、という理由で俺が家の前まで帰ってきているのに、鍵を開けず、何時間も外に放置したり
悪いエピソードなら枚挙にいとまがない
というより良い思い出などない
まあ俺が中学になり、背がばあさんよりも高くなった辺りから、そうした嫌がらせはほとんど無くなったが、今でも俺は根に持っている、というわけだ
とはいえ、あまりにもばあさんがぐったりとしたまま、起きないため、しゃーなしに俺もばあさんの様子を調べることにした
おかん「息、してる!?」
そんなもんしてるに決まってるだろ・・・
なんて思いながら、手をかざすと
・・・
あれ?
していない・・・ぞ・・・??
それにばあさんはヒンヤリと冷たい
も、もしかして・・・!?
俺が不都合な真実をおかんに伝えると
近所のかかりつけ開業医の先生を家に呼ぶことになった
だが
「残念ながら、もう・・・」
(ま、まじか・・・)
ウソだろ・・・?いやまじでだって…
今日は13時半面接だったのに!!!
いけなくなったじゃねえかよ!!
東証一部上場の自動車部品商社だぞ!?
最後の最期まで俺にいじわるするのか、こいつ・・・!!!
ばあさんが死んだことよりも、面接をドタキャンすることになった悲しさと転職エージェントへの申し訳なさ
そして、俺をあざ笑うかのようなこのタイミングの悪さ
俺は激昂していた
ちなみに死因は老衰
せめて先週・・・
死ぬなら、俺が暇だった先週にしろよ!!!!
こんなことを考える俺はサイコか!?
別にサイコでも構わない
これが偽らざる本音だ!!
そうして俺の長い一日が始まったのであった
つづく
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