暑中お見舞い申し上げます
「Mさん!お願いがあるんですけど・・・」
午前11時半ごろ
俺がデスクに座っていると、Aさんがやってきた
Aさん・・・
俺の新しい会社にいる、数少ない知り合いの一人である
今日は一体何用だろうか
「ライン交換・・・しませんか!!」
一大告白か何かのように言われた
俺を女か何かと勘違いしているのだろうか
「ああ、いいですよー」
あっさりと受け入れる俺
新しい会社に入ってから誰かとライン交換するのは初めてである
「はあ~良かった~。今日ね、僕もうずーっと不安だったんです、もし断られたらどうしよう・・・って!」
以前の話では、この人は自分の感じる不安に「Mさん」と俺の名前を付けて呼んでいる、と言っていたが
今回の不安にも「Mさん」って名前を付けていたのだろうか
最早何が何やら分からなくなってきた
だが
話はまだまだつづく
Aさんとラインを交換する際、ちらっと見えてしまったのだが・・・
ラインのトーク画面にはなんと
社長の名前が!!
(え!?この人社長とラインしてるの!?)
人のラインの画面なので、俺も突っ込めなかったが
この人の交友関係どうなってんの・・・!?
ただただビビる
だが!
話はまだ続く
その後・・・
午後三時半ごろ、Aさんが再びやってきた
「Mさんの隣のデスク、今日空いてますよね?使ってもいいですか?」
ええ、もちろん大丈夫ですよ
俺は快く受け入れた
Aさんは何やら、ニコニコしながらハガキを何枚か持っていた
「なんです?そのハガキ?」
明らかにキーアイテムっぽかったので突っ込んでみる
すると・・・
「これはですね、暑中見舞いですよ!」
暑中見舞い・・・?
いや、もちろん知っているが
そんなん書く!?
居合道部にいた頃は、主将とかが師範に出したりしていたが
少なくとも俺は書いたことがない
「いつもお世話になっている皆さんに毎年出すんですよー。まずは役員のKさんでしょ、それに・・・」
(!?)
えそれ役員に出すの!?
Aさんの字はともぼーの字と同じくらい汚い
だがしかし、その程度で戦慄していた俺はまだまだ甘かった
そのことを次の一言で思い知る
「ヨドバシカメラの店員さんにも!」
(!?!?!?!?!?!!?)
えどういうこと!?
頭の中がショートする
全く想像できない・・・!!
「この人なんですけどねー」
そう言って、名刺を取り出した
安藤まなか(仮名)と書いてある
(ヨドバシの店員さんって名刺持ってるんや・・・)
冷静に考えれば、あの人らもビジネスパーソンである以上、名刺ぐらい持っていて当然なのだろうが
俺はそれを店員からどうやって手に入れるのかが、イメージできなかった
ちなみにあと二、三枚はヨドバシ店員の名刺を持っているらしい
「去年から僕、一人暮らしを始めているんですけどね、その際にいろんなものをヨドバシで買うことにしたんですよ。でも僕、足が不自由だから、広い店内を案内してくれる人が必要で・・・」
その際に対応してくれたのが、安藤まなか(仮名)であったという
しかも、案内役を自ら買って出たらしい
「あんな風に優しくされたら僕なんてもう、イチコロですよ~」
安藤まなか(仮名)は職務を全うしただけだと思うのだが・・・
話はまだつづく
「今年のバレンタインには京都駅の伊勢丹あるじゃないですか?あそこで買ったチョコレートを持って行ったんですよー」
(!?!?!?!?!?!!?)
話の次元がいちいち高い
俺は就業中だということも忘れ、Aさんとの会話にのめり込んだ
「それって、受け取ってもらえるんですか・・・??」
普通に考えれば拒否されそうである
だが
「一回だけですよ、って言って受け取ってもらえました!ご家族の方と一緒に食べたそうです!!」
(!?!?!?!?!?!!?)
安藤まなか(仮名)!?
お前、何やってんねん!?
受け取るなよ!?
それとも意外と満更でもないのか!?
という感じでその後、Aさんは重役のお偉方と幾人かの女性社員と
そして、安藤まなか(仮名)への暑中見舞いを書き上げたAさんは満面の笑みで席を立ち
早速ハガキを出しに行った
(カオスすぎるだろ・・・)
Aさんがいれば、記事のネタには困らないかも知れない
だって今日、本当ならパーソナルカラーの話書く予定だったもん!
その話はまた明日
つうことで
つづく!!