公開結社豪泣部

「ナビは８インチですか？」

俺は少し考えたあと

店員のおっさんに至極どうでもいい質問をした

が

オッサン「・・・」

何も返ってこない

え

スルー！？

聞こえていないはずはない

だって俺はおっさんの真横にいるのだから！

実際、俺の質問に反応して、一緒にいたミニ四駆屋の店長が

いやこれでかいし９インチちゃう？

と言うと、すぐさま

はいそうです、とおっさんは返しやがった

俺は完全にスルーされた格好になる

実に不愉快である

が

そこで俺は気付いた

そう

このおっさん・・・

全力で手抜きしている！！

きっと俺たちが冷やかしだと瞬時に見抜いたのだろう

それで手抜きモードになった

だからさっきからずっと苦虫を嚙み潰したような顔をしてるんだ！！

俺も見習いたいくらいだぜ

つうことで

シトロエンの話は終わり

つづく！

棚卸手伝ってくれたお礼に飯おごったるわ！

ということで今日はミニ四駆で世話になってたところの店長と飯

だけの予定だったのだが

その道中・・・

シトロエンのディーラーがあった

シトロエン・・・

フランスの自動車メーカーである

日本ではあまり馴染みないが

そして店長は今度の車をシトロエンにしようかと考えている

と、いうことで

俺たちは食事を済ませた後

シトロエンのディーラーに行くことにした

思えば客としてディーラーに行くのは実に小学生以来のことである

さらに言えば外車のそれなどは無論初めて

どんな感じなんだろう、とか

さあさあ

どんなやつが出迎えてくれるんだ？！

なんて思いながら、ディーラーの敷地内に入る

が

・・・

セールスマンが飛んでくるのかと思いきや

誰も来ない

ええ

まあいいや

気を取り直していざ店舗へ！

が

・・・

いらっしゃいませ、と言われたきり、なにもされない

ええ

肩透かし感やばいなーなんて思いながら

展示車を二人で色々と見てみる



おお

結構おしゃれな車である

これが２４０万くらいで買えるのか・・・

安い

てな感じで一通り見終わった後

せっかくなので店員に話しかけてみることにした

この鼻眼鏡をかけ、さっきからずっと苦虫を嚙み潰したような顔をしているオッサン店員

さてさて

すごくどうでもいいことでも聞いてみるかな・・・

などと適当にそう思っていた俺は、この後起きる出来事など、むろん知る由もなかったのである

つうことで

つづけ！！

白いほうの営業所での俺の仕事は主に洗車だった

が

今は違う

というのも今の黒いほうの営業所には洗車係のアルバイトがいるからだ！

なんともまあ景気の良い話である

と、いうわけで

俺の特技の一つであった洗車をやる必要がなくなってしまった

いいのか悪いのか分からん

じゃあ今は何をしているのかというと・・・

俺の嫌いな応対である

どいつもこいつもピーチクパーチクうるせえ

やれ変な音がするだの、リモコンキーの電池が切れただの、カーナビの使い方がわからねえだの・・・

うるせー！！！

そんな細けえことでいちいち電話してくんなよ

変な音がする？

気のせいだ

日本車は壊れん

つうか変な音がするのは、お前が車検の時とかに整備費ケチってるツケが来てるだけだからな？

リモコンキーの電池が切れた？

それぐらい自分で変えろよ

ググればすぐにできる

カーナビの使い方がわからない？

取説読め

小学生でもできるぞそれくらい

取説の文字さえも読めないのなら、お前は今日から人間を辞めてサルとして生きろ

と、まあこんな風に、今ではしょうもない用で電話してきたり来店したりする連中の相手が主である

かなんなあ

つうことで続く

ちなみに洗車しすぎると錆びるし注意な

俺には分からない

定時が過ぎているのに、のんびりと仕事をしているこの光景が！

なんだこの弛緩した空気は！！

お前ら時計が見えないのか！？

しかし、俺が今いる黒いほうの営業所では日常的なものらしい

全くもって恐ろしい

前の白いほうの営業所とはまるで違う

白いほうの営業所はみんなが一丸となり、定時退社に向けて動いていた

定時に対する感覚がまるで違う

会社に長い時間居残って、駄弁りながら仕事を片付けるのが格好良いとでも思っているのだろうか

実に嘆かわしい

こういう手合いが跳梁跋扈しているからこの国はダメになるんだ！！

いやまじで

定時退社ができないということは、時間にルーズということである

つまりゴールから逆算して行動できない

センター試験の英語なんか一生高得点が取れない類の人間

実に下らん！！

つうことで俺の苦悩の日々は

つづく！！

困ったときは報連相である

仕事で叩き込まれた

そんな俺はそれを早速、実生活でも取り入れてみることにした

具体的に、どういうことかというと・・・

２月１８日PM１０

紺のオーダーメイドスーツに黒いセルフレームの眼鏡という、エリートのコスプレを身にまとい

俺はこないだロストした女の行きつけバーにいた

そう

女から未読スルーを突然受けるようになってしまった、ということをそのバーのおっさんに報告したところ・・・

取り合えず店来い！！話しようぜ！

と言われたのだ

店に入ると、いきなりでかい声が飛んできた

「おい！N！！元気ねえなおい！！」

生まれてからずっとこのテンションだよ、と適当に反論する

実際そうである

元気がないとかよく言われるけど、俺自身の感覚としては至って「素」なのだから

椅子に座りながら、コロナを注文する

「飲んで元気だせよ！！」

そう言って、おっさんはテキーラを勝手にグラスに注いでいく

俺は酒でテンションなど基本的に上がらないのだが・・・

つうかテキーラ嫌いなんだが・・・

しかし俺は言われるがままに飲んだ

相変わらずこのテキーラとかいうやつはまずい

「大体な！ああいうのはタイミングなんだよ！俺もそうだった！タイミングで全てが決まるんだ！！」

タイミング・・・

一体何を指しているのだろうか

言葉の意味を考える

そもそも、このおっさんは俺が何故女から見放されたのかを知っているのだろうか？

それが気になって気になって仕方がないから今日、俺はここに来たのだが、どうにも発言があいまい過ぎて分からん

なんて考えていると

「彼女なんて俺が紹介してやるよ！！Nはしっかりしてるからさ！！大丈夫だよ！！」

俺の思考は強引に遮られてしまった

さっきのタイミングの話がもっと聞きたかったのだが・・・

とまあこんな感じで意味があるのか無いのかよー分からん時間が２時間くらい続き・・・

終電が来たので俺は帰ることにした

俺が外に出ると、バーのおっさんも何故だか追いかけてきた

何やら真面目そうに話しているが、酔っているせいか耳が遠い

何言ってるのかよくわからない

・・・

しかし

なかなかにカオスなバーでずいぶんと楽しませてもらったが

もうここに来ることはないだろうな

この期に及んで、あの女のテリトリーで俺がウロチョロするのは格好がつかん

と、いうことで俺は胸の内でバーに別れを告げた

まあそんな感じで

つづく！