公開結社豪泣部

この日・・・

俺はシンクタンクと呼ばれる会社の面接を受けていた

シンクタンク・・・

耳慣れない言葉だが、要は研究所である

経済動向とか社会問題とか業界予測だとか

そういうことを調べてまとめたり、企業とかからの依頼で調べたりする

何とも俺向けな仕事である

が

問題がひとつ

そう

クレペリン検査・・・・！！

俺がこの夏、某庁を受けたとき、こいつによって淘汰された（多分）であろうこいつ・・・！！

ひたすらに足し算を行い、そのスピードと正確性とかからそいつの性格が分かる・・・らしい

つうことで俺の目の前にはクレペリン検査の問題用紙が置かれていた

嗚呼

またお前かよ・・・！！

そんなクレペリン検査をやり

その後は面接

相変わらず苦手である

そして・・・

落ちたのであった

検査結果が当社の期待値を下回ったため、不採用となったらしい

何だよ期待値って

意味わかんねえよ

つうことでつづく

じゃあ先行って待ってるしな！

そう言って、残務を大量に残し、店長は営業所を後にした

あ・・・はい

呆気にとられながら俺は答えた

現在時刻１９時１５分

忘年会開始は８時だと行っていたが・・・

今から残務を消化し、車を置きに一旦アパートへと戻り、それから会場へと向かうとなると１００％間に合わない

メンバーが揃わないとああいうのって、始められないんじゃ・・・

店長がとった行動の矛盾点について考えながら、俺は静かに諦めた

まあいいか

俺の知ったことじゃない

クソ忘年会などそもそもどうでもいい

・・・

そうして俺は９時２０分から忘年会に参加したのであった

店長から文句を言われたが、それは聞き流した

嗚呼

何してるんだろうな、俺

つづけ

年末休みがある代わりに・・・

それ以外は定休日の水曜以外、ほとんど全部仕事である

冷静に考えるとやべえなこの環境

モーレツ社員の気分である

あの時代は休みは日曜日だけだったからな

さらにいえば

客が全然来ない

リコールだの整備だのしょうもない用ではわんさと来るが

「買い」には来ない

店長から連日のようにプレッシャーをかけられる

この役に立つのか経たないのか分からないフィードバック

しかし・・・

まずいな

０台は流石にまずい

とはいえ

客が来ないことには何も始まらないぜ・・・

なんて思っていると

先輩から一枚のメモを渡された

なになに・・・

「車を契約したい。家に来てほしい」

！？

どうやら８月に見積もりを作った脈なし客かららしい

まさか、あのじいさんが・・・！？

この期に及んで買う気になったのか・・・！！

つうことでタナボタ的に九死に一生を遂げた俺であった

ラッキーって起きるんやな

カイジを読むようになってから、すっかり懐疑的になっていたぜ



つづく

１２月は閑散期である

客が来ない

やばい

一応一台は売れたので首はつながったが・・・

ノルマはあと３台

店長から「次はいつ決まる？」と意味不明な問いかけを受ける

何だよそれ

そんなほいほい釣れるかよ

なんて思っていると・・・

俺の机に一枚のメモが置かれた

ん？

何々・・・

 「車を契約したい。月曜日家に来てほしい」

ま！？！！！？？？？？！！！

見れば、８月に一度店に来たきり、ずっと電話さえつながらなかったあのじいさんではないか

あのじいさん、車買う気になったのか！

僥倖・・・！！

なんという僥倖・・・！！

つうことで俺のノルマはあと２台となった

つづく

自動車販売という仕事相変わらずよく分からない

買う気満々のやつが買わなかったり

リアクションが薄いやつが買ったり

半年間は考えるといっていたやつが、一週間後には買ったり

どいつもこいつも分からない

客の言うことなど全くあてにはならない

客の主張をそれとなく無視しながら、車を売りつける

今日もよく分からなかった

数か月前、見積を取り、脈なしに見えたおっさんがいきなり店にやってきたのだ

そして・・・

買った

俺は何もしていない

いや、実にラッキーであったのだが

つうことで消費者のやることはよう分からんわ

つづく