通りすがりの女にコンドームを差し出す(!?)話
嗚呼
今日も仕事が終わった
前の会社にいた頃は大嫌いだった週末(ノルマがあるため)
でも今は大好きな週末がやってくる
だが・・・
その前にこの伸びまくった髪を切ろう
鬱陶しい
つうことで会社帰り、河原町方面へと徒歩で向かっていると・・・
(なんだこいつ?)
前を歩く女がいた
のだが
それが
ペンギンのようなよちよち歩きなのである
服装から察するに・・・
就活生か?
リクルートスーツを着ていた
しかし何故こいつはこんなペンギン歩きなんだ
(もしやペンギン業界を志望しているのか!?)
なんて思っている内に、普通のスピードで歩く俺との距離はどんどん縮まり・・・
女の2メートルくらい後ろまでやってきた
すると!
(こ・・・これは・・・!!!)
そこに来て初めて気が付く・・・
そう、女のカカトが真っ赤になっていることに!!
靴擦れである!
(うーわ、痛そーやなあ・・・)
俺も思い出す
ありし日々を・・・
確かに就活生のころは革靴のせいで足が痛かった
しかし遠巻きに見ても分かるくらい赤くなっている
何だか可哀そうだ
(そういえば・・・俺、バンドエード持ってたな)
少し気が引けたが
俺は話しかけてみることにした
「足・・・大丈夫ですか?靴擦れ?めっちゃ痛そうやけど・・・」
俺がそう言うと、ペンギン業界の女はこちらを向いた
「バンドエード持ってますけど・・・要ります?ちょっと痛そうすぎて見てられなくって・・・」
そう言って俺はカバンからバンドエードを取り出した
カバンの中でもみくちゃにされ、シナシナになっている
こんな小汚いバンドエードしかないのだが、良かったのだろうか・・・??
若干不安を覚えたが
「あ!ありがとうございます・・・!!!」
目が輝く、とは正にこういうことを言うのだろう
まるでマンガのようにキラキラした目で女はバンドエードを受け取った
聞けばインターンシップの帰りらしい
就活ではないが・・・
まあ似たようなもんか
・・・
それはさておき脚は当然、二本ある
故にバンドエードは二枚いる
のだが・・・
(あれ・・・一枚しか持ってなかったかな・・・??)
二枚目を渡そうとカバンの中をあさるが・・・
ない
(いやいやいやいや、そんなワケないって)
絶対ある
だってこないだカバンを買い替えたときに何枚か入れたからだ
そう思い、さらにあさると・・・
(あ!あった!!)
遂に見つけたぞ
俺はカバンの底から見つけたそれを指で挟み・・・
女に差しだした
そう・・・
正方形のパッケージ
(あれ?)
バンドエードなら、普通長方形のパッケージ(というか台紙)じゃね・・・?
漆黒の包み紙に燦然と輝く黄金の文字
その輝きはまるで、今日この日をずっとずっとカバンの奥底という暗闇で待ちわびていたような
そんな輝きだ
そこに描かれた文字・・・そしてパッケージ・・・
どう見てもそれは・・・
(オカモト、ゼロワン・・・!!!!)
この大日本が世界に誇る(?)技術力の粋を集めて作られた・・・
まごうことなき!
コンドーム!
コンドームなのである・・・!!!
(!!!!!!!!!!)
「あ・・・」
あ、しか言えない
この圧倒的状況では・・・!!
空気が一気に凍り付いていくのが分かる
さっきまで輝いていた女の眼からは光が消え・・・
時空が歪むかのような感覚に飲み込まれる・・・!!
というか最早若干、歪んでいる!!
「やべ、これじゃねえ・・・」
努めて冷静に振舞う俺
何事も無かったかのようにコンドームを仕舞う
そして
もう一度あさると・・・
「あった!!」
シナシナであったが
バンドエードをもう一枚、出すことができた
(よ、良かったーーーーー)
あのままでは通報されるところであった
「ありがとうございます!!!!!」
再び目の輝きを取り戻す女
名誉挽回は果たされたようだ
しかし
この女、よく見ると・・・
(全然可愛くないな)
勃たない
勃つ女だったら、連絡先を聞いたりとかもしたかったが・・・
(勃たない女に価値無し!!)
嗚呼
俺は無価値な女に無償の善を為したのか
素晴らしすぎるだろ俺・・・
つうことで俺は近年稀にみる善を施したのであった
神よ・・・
見ているか・・・?
いや見ろ?
俺は善を為したぞ・・・?
次は当然、俺が慈善を受ける番だろ??
だから取り敢えずタダマンできる勃つ女寄越せ・・・?
つうことで
つづく!
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