タイトルなんて付けられねえよ
キーボードが壊れているのではないだろうか
この記事を打ちながら
そう思ってしまう
何せ、キーが重いのだ
いつもならもっと軽く打てるはずなのに・・・
・・・
朝八時
起床とともに俺は浮足立っていた
今日は水曜日
俺の居合の稽古がある曜日だが、浮足立っているのはそのせいではない
ありすちゃんの出勤日であるからだ
先刻承知の通り、兵庫県でも緊急事態宣言が出ることになり
今度の金曜日からかんなみ新地は閉鎖となる
となれば、今日明日がありすちゃんと会える最後の日ということになる
だから俺は今日、道場を休み
ありすちゃんとファックする
先生・・・
稽古よりもありすちゃんとのファックを優先する俺を
どうか許してください
心の中で深く謝る
そう
今日明日がありすちゃんとファックができる最後の日
最後の日になるはず!
だから俺は
思い切ってありすちゃんの連絡先を聞いてみようと
そう決意した
ありすちゃんと会えない生活なんて想像できないからだ
幸い、俺には大学時代のイカれた先輩がいる
あの人は男女の機微に関することならなんでも知っている
久しぶりにラインしたところ、風俗嬢との連絡先の交換のコツなんかも当然のように心得ており
俺にそのノウハウを教えてくれた
さあ
これで準備は万全だ
朝から死ぬほどソワソワしながら俺は、終業時間を今か今かと待ち望み
ようやく訪れた定時
半立ちのピッパラを誤魔化すために若干前のめりになりながらも
俺は小走りにかんなみ新地へと向かった
・・・
ネットでは様々な説が流れていたが
やはり緊急事態宣言中は休業となるようだ
あちらこちらに張り紙がしてあった
嗚呼
やっぱりありすちゃんとはもう、ここでは会えなくなるんだな・・・
そう思いながら、いつもの店を目指して歩く
はやる気持ちが抑えられない
入れた瞬間、この気持ちもピッパラも一気に爆発してしまいそうだ
先週のファックを思い出す
最高のファックだった
またあんなファックがしたい
ありすちゃんはいつだって俺の期待を裏切らない
だから、今日だってあのときと同じかそれ以上の効用が得られるだろう
そうしていよいよやってきた
冷蔵庫のような大きな機械の横にある店
中を覗いてみる
すると
店は開いていたが
ありすちゃんはいなかった
先客がいるのだろうか?
すっかり顔なじみとなったポン引きのおばちゃんに声を掛ける
だが
「ごめんねえ、ありすちゃん今日お休みなの」
え
土曜日に引き続き
またもお休み?!
一体どういうことなのだろうか
何だかとてつもなく嫌な予感がする
「あ、あの、明日はどうなんですか??」
動揺からか、かなりどもりながらも俺は尋ねる
しかし
次の瞬間
俺はよく慣れ親しんだ感情だが、大嫌いなそいつと
俺の前によくあらわれるが
ここ最近、あまり出番のなかったそいつと
再び出会うことになる
「明日もお休みやねん。ごめんねえ?休業も入るから、次は10月くらいになるんちゃうかなあ?」
・・・
そいつの名は
・・・
絶望という
・・・
申し訳なさそうに頭を下げるポン引きのおばちゃんの姿を見ながら
俺は全身から力が一気に抜けていくのを感じた
え
今、なんて?
あ、明日も来ない?
次は10月?くらい?
嘘・・・
だろ・・・?
ありすちゃんと
もう会えない?
連絡先の交換もできないまま
これで・・・
終わり?
「あ、あ、あ・・・あ、そう・・・ですか」
激しく動揺しながらもとりあえずおばちゃんに返答し
俺はその場を後にした
かんなみ新地を出て
商店街を通り抜ける
いつもの帰り道
うきうきで
ファックをした直後なのに既に半立ちで
通る道だ
その道を
傘を引きずり
バランスを崩しながら
無理矢理歩く
(傘って、こんなに重かったっけ・・・)
重いというよりかは
うまく握れない、というほうが正確だろうか
指を動かすことに、かなりのエネルギーがいる
俺の絶望とはいつだってこの脱力・無気力とセットだ
いつだって世界の野郎はこうやって俺を苦しめる
ワンパターンなやつだ
ワンパターンだが・・・
一番効きやがるぜ・・・
そうして足を引きずるようにして
俺は京都の家へとかえるのであった
・・・
つづく・・・
・・・
のか・・・?
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