カウンター
久しぶりのハッタリ

かつての俺はよくハッタリをかけていたし、かけられていた
客が俺にハッタリをかけ
俺も客にハッタリを仕掛ける
部長がFランにハッタリをかけ
Fランが俺にハッタリをかけてくる
そうなると、俺もFランにハッタリを仕掛ざるを得なくなる
そう
真実などどこにもない
ハッタリがハッタリを生む無限ループである
だからこそ、今日
14時からのZOOMの予定を客が急遽14時半からにしたいと言い出し
本来なら、それに対応するはずだった課長が、
「私、3時で抜けるからあとの三十分てきとうにやっといて」
と13時半ぐらいになって突然俺に丸投げしだしたとき
俺は在りし日々を思い出していた
まあ、そんな予感はしていたよ
用意も何もしてないのに、突然俺に丸投げして
俺ができなかったら、俺のせいにする
ここ数か月でよくわかった、あのBBAの常とう手段だ
普段の俺なら焦るのだろうが
今の俺は明鏡止水の心を持っている
それに、今までだって散々、知りもしないことを知っているかのように話していたではないか!
例えば
客が他社の車について聞いてきたとき
乗ったこともないくせに加速が弱いとか、どうとか何も知らないくせに知った風に話していたし
整備の説明だってそう
見たこともないし、どんな役割なのかも知らない部品について、客に説明をして、売りつけてきた
そのテクノロジーを今こそ活かすときだ!
という感じで
15時を迎え、課長がズームから退席したあと
俺は客と向き合った
うちが手掛けている人材管理システムのデモンストレーションである
(明鏡止水の心で勝ち取ったあのパワーで・・・勝負!!)
客が早速、俺に話しかけてくる
「この適性マッチング機能とは何です?」
(一体、何なんだろう・・・)
よく分からないが
テキトーに押してみる
すると、過去の退職者と似た性格を持つ社員の一覧が表示された
どうやら、適性検査の結果から、そいつの性格的な傾向を読み取り、AIを使って過去に辞めたやつと照らし合わせることで離職者の予測をしているらしい
(そんな機能があったのか・・・)
そういや、なんか課長が言ってた気がするな
この間、時間にしてわずか一秒・・・!
「こちらが、ご覧の通り退職者との傾向を重ね合わせ表示させている画面です」
1秒前に知ったことを、さも昔から知っているかのように話す
どうだ!
俺はこうやって!
今まで何人もの客の目をすり抜けてきたんだ!!
これは、いけるかも知れない・・・!!
しかし、俺が思っているよりも客はめんどうくさかった
「ここの離職者マッチング、このサンプルデータだと95点となっていますが、これはどのスコアあたりから警戒したほうが良い水準になるのですか??」
そんなもん・・・
知らねえよ
あくまでこれは、過去の退職者との傾向の一致度を出しているだけ
そこにそれ以上の意味なんかない
ではこの分析は何のかと聞かれると、俺も困る
流石にスコア100と0の間では違いがあるのだろうが
究極的には無意味とも言える数値なのだから
90と50で実際問題として、何がどう違うのか、と聞かれても分からないし
きっと課長であっても分からないであろう
どいつもこいつも、人工知能が魔法の杖か何かと勘違いしているが
そんなものはどこにもない
だがしかし
ここはデモンストレーションの場である
良い感じに見せなくてはいけない
「そうですねー、その会社の業種とかの要因も絡んでくるので、一概には言えませんが、凡そ70から80位が一つの基準ですかねえ」
まあきっと、過去の退職者と8割方似通った特性のあるやつなら、警戒しておいてもいいだろう
完全なるてきとうだが
「なるほどですね!」
客は何故か理解していた
という感じで、頑張ってデモンストレーションを片付け
勝利のモンエナを飲んだ
ピンクのモンエナである
嗚呼、いつもよりうまい・・・!!
というわけで・・・
つづく!!
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