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激突人事部~超・最終面接~
今日は退職面談の日である
これでもう三回目だ
最初は店長
次は部長・・・
俺は販社にいるが
元々は本社の人間である
これでもう三回目だ
最初は店長
次は部長・・・
俺は販社にいるが
元々は本社の人間である
ということはつまり…
この一連の退職面談も最後は本社人事部と行う必要がある、ということだ
言わばラスボスである
ラスボスというと大層手強そうな響きだが
事前に辞めていった奴らの話では簡単な意思確認で終わるらしい
流石に緊張するが、それなら大したことはないだろう
そうタカを括っていたのだが…
皮肉にも、転職活動を通じ、使い慣れたzoomによる面談が始まった数分後
俺は自分の認識の甘さを思い知ることになる
まず
人事のメンバーが違う!
聞いていた話では人事は一人だったが
画面の向こうには二人
嫌な予感しかしない
そして…
退職理由と転職理由を教えて下さい
「成長産業に携わることでキャリアアップしたいと考えているためです。市場価値のある職歴、職能を身に着け、会社に依存しない人間になりたいのです」
そう答えると
あなたのいうキャリアアップの定義とは?
会社に依存しない人間とは、つまり起業などを想定しているのですか?
矢継ぎ早に繰り出される質問
俺の返答に少しでも納得できないと、すぐさま
「それはどういうことですか?」
と深堀られる
人事の猛攻は続く
「自動車業界は今、大変革期にあります。この波に乗れば、今までに無いキャッチアップができるかも知れない。そんな当社に身を置き続けることでもあなたの言う『成長産業でのキャリアアップ』はできたのでは?」
何を言ってるんだ
未だに電気自動車の一つも作れない三流自動車メーカーは一体どこのどいつだよ!!
「その波に乗れるかも知れないし、乗れないかも知れません。もちろん、乗れるに越したことはありせんが、何れにせよ、この変革の核にあるのは自動車メーカーではない。ならば、変化に巻き込まれるくらいなら、その変化の核にあるものに触れたいと考えています!」
答えになっているのかなっていないのか分からないが
兎に角、それっぽいことを捻り出す
さっきから何だよこれ
聞いてた話と全然違うじゃねえか
最早これ、最終面接より最終面接してるじゃねえか!?
言わば、超・最終面接!
言わば、超・最終面接!
人事部のやつら、一体何がしたい…?!
この期に及んで、俺の退職を阻止しようとしてるのか…??
相手の真意がつかめないまま、質問は更に続く
「当社は非常に大きな会社です。今は違うかも知れませんが、ここで他の部署に携わることでキャリアアップできる可能性だって大いにあります。それでも今転職したのは?もう少し、今の環境で頑張るという選択肢はなかったのですか?」
嘘付けよ…
販社で骨を埋めてるやつがこの会社に一体どれだけいるんだ
本社に戻るのなんてほんの一握りだ
そのくせ、チャンスが広く開かれているみたいな顔をいつもしやがる…!
だから嫌いなんだよ!!
頭の中に湧き上がる感情、思考
それをマトモな言葉遣いに瞬時に組み替える
「販社に二十年間ずっと出向している型を何人も見かけました。もちろん、その人の能力や適性、希望などもあるのでしょうが…」
そこで言葉を区切る
「それでも私は、いつ巡ってくるか分からない不確かな未来よりも!」
「確かな今を掴みたいのです!!」
一瞬、良い事を言った気がしたが
言ったあとに後悔した
流石にちょっとくさ過ぎたか…
だが、人事部の反応は違った
「不確かな未来よりも、確かな今、ね…あなたの言いたいことはよく分かりました」
あれ
意外と響いてる…?
「それでは、今後の退社までの流れですが…」
と思いきや、いきなり事務的な話になった
今までのやり取りは一体何だったのか
俺を尋問して楽しんでいたのだろうか
会社を辞めるやつを質問攻めにして悦に浸る…なんて確かに、辛気臭い当社の人事部らしいといえばらしいが…
という感じで40分に渡る退職面談は終わり
という感じで40分に渡る退職面談は終わり
本社から退職に必要な各書類が送られてくることになった
嗚呼
会社を辞めるって大変なんだな・・・
当たり前か
つづく
嗚呼
会社を辞めるって大変なんだな・・・
当たり前か
つづく
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