カウンター
カメムシ天国

星の数ほどの、とかよく言うが、俺は満天の星空などみたことがない
・・・
一日のうち、俺の生産性が最も高い時間帯は定時間際である
そう
店を閉める準備をしているときが一番、俺は張り切っている
誰よりも早く俺は片づけを開始し
そして誰よりも早く帰る
のだが
今日は違った
・・・
バチッ!バチバチバチ!!バチッ!
嫌な音が響く
音の発生源は
店舗に併設された展示場の上空
展示場を照らすライトに
星の数ほどの
カメムシが
集まってくることによって発生している音
ライトの周りを飛び回る無数のカメムシ同士が衝突して響く音
それが数メートル先の俺にまで響いている
バチ!バチバチ!!バチ!
本当に嫌な音
さらにカメムシがいるのは上空だけではない
地面にも、たっくさんカメムシが歩いている
上も下もカメムシだらけ
その異様な光景と、不気味な音を俺は世界の終わりでも眺めるような気持ちで見ていた
これはまず
そう
これでは閉店前の片付けができないのだ
閉店するためには、道沿いに並べたノボリを回収しなければならない
のだが
そのためには、あのカメムシ天国の真下に行かなければならない
むろん、あのカメムシ天国に近づけばもう、カメムシまみれは必至である
故に俺は・・・
逃げることにした
しかし、そんな俺に過酷な運命が待ち受けているとは、このときは知る由もなかったのである
つづく
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