公開結社豪泣部

半年くらい前から、俺は居合道部の後輩の就活の面倒を見ている

俺が得たノウハウ

俺が得た経験則

俺が使ったエントリーシート

その他ありとあらゆるものを、その後輩に授けた

何故かって？

伝説になりたかったからである

居合道部から、大手企業に行くやつなんて、数年に一人くらいしかいない

オリンピックと同じくらいの頻度である

まさに奇跡に等しいもの

しかし、そんな奇跡を

もし、この俺が、この手で意図的にひねり出すことに成功したら？

俺のレクチャーによって、後輩が大手企業への切符を勝ち取ったら？

それはきっと偉業であるはず

それはきっと伝説であるはず

それはきっと快感であるはず

故に

俺はそうする

人が伝説になれることなんて、そうはない

下らない伝説なら、簡単かも知れない

が、ちゃんとした価値のある伝説なんて、そうは作れない

そんな伝説を

本物の伝説を

俺が

この手で

生み出してやる

見せてやる

そんな気持ちで、後輩の就活指導をやり始めた

実際、その後輩は財閥系のB2Bメーカー（とはいえ、業界内では中堅クラスではあるが）の最終面接を２つほど控えているという

俺が伝説になれる日もどうやら近そうだ

そんな後輩が、今度俺と同じ会社を受けるという

あの会社から転職しようと現在進行形で頑張っている俺からすれば、なんとも複雑な気分である

が、

世間一般には、あの会社は腐っても一流企業である

それに、どんな会社を受けるかは、そいつの自由

俺があれこれいうことじゃない

こんなこと俺が言うのはちゃんちゃらおかしいが

それでも願わずにはいられない

そう

願わくば、

あいつがあの会社を落ちますように・・・

つづく