公開結社豪泣部

今日はムショに入って初めての休み

日曜日が嬉しかったのなんていつぶりだろう

そんな今日はイオンモールへの買い物ツアーがあった

ムショの周りには何もない

あるとすれば工場、畑、民家程度

そしてムショは休日は業者が来ないため飯がない

つまり自力で何とかする必要がある

そんなときのための買い物ツアーである

囚人たちはみなこぞってこのツアーに参加し、シャバの空気を胸いっぱい吸い込んだ

俺もその一人だ

田舎のイオンなんて何も目新しくなんてないはずなのに、宝の山に見える

茶葉、お菓子、シャンプーに洗剤、チョコレート

ムショの売店にも一応これらは売ってあるが、品ぞろえが桁違いだ

どれも輝いて見える

そして何より、一人になれるこの開放感！

プライバシーゼロの空間で暮らしていた俺にとって、これはでかい

イオンにはルームメイトと連れ立って買い物をする連中がたくさんいたが、あれはダメだ

折角外に出たのに、何故塀の向こう側と同じ顔触れと過ごさなくてはいけないのか

一人になれる千載一遇のチャンスを何故不意にする？

自分で自分の首を絞めて一体どうする？

下らない友達ごっこのために払う対価としては大きすぎないか？

まあいい

俺には関係ないからな

同期は友達ではない

あいつらが、友達ごっこに疲れ、生きる骸になる日が俺には見えるぜ

おわり