公開結社豪泣部

「Nちゃ～ん！待ってたよ～ん！」

俺が出先から営業所に帰ると・・・

Tさんがいた

「あ・・・えっと・・・N・・・ちゃん・・・？」

いきなり下の名前をちゃん付けで呼ばれ、フリーズするワイ

フリーズする俺を見て、Tさんはとても楽しそうにしている

そう・・・これはTさん（３０歳既婚女）

本邦初公開の人物だが、保険会社の人だ

自動車ディーラーが扱っているのは車だけではない

自動車保険も扱っている

そのため保険会社の営業の人がこんな風にして、営業所にやってくるのだ

このTさんは春くらいから、新しくうちの営業所の担当になった人

担当になった当初は別に普通の人だと思っていたのだが・・・

どういうわけか、冒頭のように最近やたらと気に入られている

「私、Nさんのファンです！ファンクラブ第一号です！会費はゼロ！ちなみに会員数は一名！あはは！！」

今日に至ってはファンクラブまでできてしまった

しかし残念ながら第一号ではない

ファン第０号と一号はそれぞれ、穴とともぼーであるからだ・・・！

「ふぁ、ファンクラブですか・・・光栄ですね・・・ははは・・・」

てきとーなことを言って流す俺

しかし・・・！！

（１０年おせえよ・・・！！）

心の底から思う

こいつがそう・・・

１０年早く、２０歳であったなら！！！

つうことでつづく

プロメアに行ってきた

いや、一度見に行ったのだが・・・

もう一度行きたかったのだ

さすがにもう上映していないだろうと思っていたが、意外とやっていたので見に行ったのである

しかし・・・普通の上映ではない

俺は何も知らず行ったのだが・・・

これは応援上映・・・！

即ち、叫ぶのだ！！

日本では映画といえば黙って、おとなしく観るのが常識だしマナーだとされているが・・・

映画の本場アメリカでは違うらしい

というのも、「後ろだ後ろ！！」とか「いけー！！」とかこんな感じでみんな叫んだりするらしい

この応援上映とは言わばそんな感じ

上映中に叫ぶことが積極的に推奨されている

いやしかし、これはすごいことである

上映中に叫ぶなどと・・・

それに一回観たら基本的に「終わり」の映画を応援上映を設定することで、リピーターを呼び込むことに成功している・・・

これはすごいアイディアだ全く…

というわけで上映が始まった

嗚呼・・・どうなってしまうんだこれから・・・

特に右斜め後ろが気になる・・・

あの腐女子集団が特にそう・・・

映画が始まる前からキーキーうるさかった

もちろん、これは叫ぶための映画なのだが、あの声は非常に不愉快だ

如何にもモテない女と言わんばかりの・・・甲高く、そして耳障りな声・・・！

「その顔が好きー！！！」とか

「かわいー！！」とか推し・・・なのだろうか、そのキャラが出てくる度に叫んでいる

ああそうだとも、これは少子化の元凶を生み出す声だ・・・！！

モテないし、モテようともしない！

そういう類の女！

下らない腐女子仲間とつるんで、その不都合な真実から目をそらしている・・・！！

お前ら一体どこまで下らないんだよまじで・・・！！

俺の日本を・・・一体どうしてくれるつもりだ

つうことで、映画自体は良かったが、この国を蝕む悪をも強く感じさせられた一日であった

つづく

俺は会社で出会った人によく聞くことがある

「どうしてこの会社に入ったんですか？」

そう・・・

メーカー出向の俺からすれば

自動車販売会社など

クソ

クソでできた泥船

つまりクソ船



どんどん小さく、そしてまずくなっていくパイ

それを必死で奪い合うだけの産業

どれだけ頑張ったどころで、世界の流れは変えられない

下りのエスカレーターを逆走しているのと同じ

泥船いや

クソでできた泥船だ

そんな自動車販売になぜ？

答えは様々だ

先輩から紹介されたから、とか

家から近くて給料がよかったから、とか

ちなみに俺はこの質問を新入社員にしてみた

「この会社にどうして入った？ここしか受からなかった？」

俺の予想では就活で落とされまくってまくってまくりまくって

流れに流れて

ここにどうせ行きついたのだろう

学歴もなく、学生時代何か成果を残した訳でもなく

かわいい訳でもない

この新入社員に、だ

しかし、答えは俺の予想とは違った

「いえ、他に内定はいくつかもらっていました・・・接客業を中心に受けていて、スーパーとかからも内定はもらっていました。

ただ、就活生になる前に親が車を買って、その時に仕事の話とかを聞いて、自分にもできそうだと思って、ここにしました。」

え

一応えり好みしたうえでのここなの！？

つうか大学出て、スーパーなんか受けんなよ・・・

超一応、学士だろ・・・お前

というわけで世界は驚きに満ちている

つづく

どいつもこいつも

消費税消費税と言って車を見に来る

嗚呼・・・

消費者というものはいつだってそう

愚かなものだ

どいつもこいつも自分はあたかも合理的に選択し、行動しているかのように装っているが

全然違う

そうなのだ

自動車は・・・

消費税増税の影響を、ほぼ受けない

確かにそう

普通に考えれば２００万の車だったら２％の上昇で４万上がる

だが実際には、１０月から自動車取得税が廃止され、環境性能税というものに変わる

これはエコカー度合いによって課税の程度が変わる・・・というものだ

エコカーであればあるほど、最高で免税、マックスで４％だったろうか、課税される

こいつの影響で日本の一般的な車であれば消費税増税分は、ほぼ相殺される

ほぼ、というのは実際的には価格がほんの何千円か上がるだけ・・・だからだ

だが

気づかない

消費者どもは！

その、愚かさゆえに・・・！！



いや確かに、フェラーリみたいなエコカーとは対極に位置する車を買うなら、環境性能税はフルで課税されるため、今が買い時なのだろうが

フェラーリを買うようなやつはきっと、好きなタイミングで好きに買うだろう

消費税のことなんていちいち考えない・・・！！

つうことでつづく

本来であれば

今日は俺が退職届をルンルンで持って行く日であった

が

俺の目論見ははずれ

失意の木曜日

世界恐慌を目にした証券マンたちはきっとこんな気持ちだったのだろう

俺は今日をそれにあやかり、ブラックサーズデーと名付けることにした

なんでもいい

なんでもいいから、さっさと前に進みやがれ・・・転活

カウントダウンがしたい

したい！！

Fランデブ最後の〇日間シリーズをまたやりたい

俺は普段なら、隙あらば開いている出会い系アプリには目もくれず

リクナビNEXTとマイナビ転職とエン・ジャパンをくまなく調べる・・・

早く！！

早く！！

俺にまた味わわせてくれ・・・

最終面接の希望とプレッシャー、そして運命のカウントダウン

一日が過ぎるたびに

自動車販売員としてどんどん染まっていくような気がしてならない

気が気ではない

底なし沼に沈んでいくかのような感覚

やめろ

やめろ・・・

違う

違うんだ・・・！！

俺は、

そんなのじゃないんだ

違うんだ・・・

つづく