公開結社豪泣部

本庁は空気が重い

配属前・・・

そんなウワサを聞いていたが

（確かに・・・その通りかも知れない・・・）

そんなことを考えながら、俺は昼休み中の執務室を見渡していた

節電のため、部屋の電気は消され物理的に暗いというのもあるが

「「「・・・」」」

ただひたすらに・・・無音

１５人弱くらいはこの広報スペースにいるはずなのに・・・

人っ子一人しゃべらない！

というか、「しゃべってはいけない」という空気さえ感じる

俺の隣の席の人は、午前休で午後から出勤であったが

「・・・」

音もなく現れ、自席に付いていた

（こういうとき、なんか言うやろ普通！？）

あ、どうも

とかさ！？

（何なんだここは・・・！）

今日はみんな悪いことでもあったのだろうか？

それだけではない

更に驚くべきは・・・この状況を異様だと感じているのが、恐らく俺だけということ

この謎の暗い空気感に誰もツッコまない

（ジョークとか言った方が良いのだろうか？）

俺は無言が苦手である

隙あらばジョークを噛ましたくなる

しかし・・・

仕事のときとか

（「OK牧場～！」とか言いながら承認ボタン押したりしたら空気凍るんやろうなあ・・・）


（OK牧場ってそんな物騒な牧場なの・・・？？）

そう

たまに無性に言いたくなる・・・「OK牧場」

前の前の会社では整備の人がよく言っていたせいか、知らない間にうつってしまった

なんとかしてこう・・・ジョークを言っても良い感じになってほしいのだが！？

つうことで・・・

つづく！！

なのかこれは・・・？？

広報というと宣伝のようなイメージがあるが・・・

俺の仕事のほとんどは「書類の体裁を整えること」と「上司の決裁の申請」

である

たまにHPの更新の管理とかSNSの発信とかあるが・・・

８割くらいは上記「謎の仕事」に追われている



ちなみにその他にもやるべきことはある

後回しにしまくってなんとか食い下がっているものの・・・

正直、できる気がしない！

他にやるべきこと・・・といっても、これもまた書類の体裁を整え、上司に提出できるようにするようにパッケージングすることであり・・・

上司がそもそもちゃんと見ているのかも分からない

（これが広報の仕事なのか・・・？）

配属されて三日目

そんな激しい疑念とともに膨大な作業に追われながら、そんなことを考えていた

転職して三日目と三週間後と三か月後がキツイ、みたいな与太話をどこかで聞いたことがあるが

案の定・・・というべきか

（やべえ・・・）

俺は圧倒されていた

地味にタスク管理もやりにくい

今までは会社のグーグルアカウントがあったから、カレンダーにスケジュール登録しておけば、通知が来て思い出せたのだが・・・

ここにはそんなものはない

謎に内製したクソUIの業務システム・・・メーラーとか人事評価システムとかワークフローみたいなやつとかの中にスケジューラーもあるが・・・

通知機能がない

簡単な文言が記載できるだけのカレンダーのようなもので、存在意義がよく分からない

そも、世にこれだけオフィス支援システムがあるのに・・・

何故内製した！？

（コスト意識ゼロか？！）

ツッコみポイントしかない

DXDXと言いまくってはいるが・・・

まずはこの内製の業務支援システムをやめ、普通に外販されているサービスを使ったほうが良いのでは・・・

オールインワンのシステムっぽいから、多分何かをアップデートしたくても、他との兼ね合いで無限に何もできない・・・的な沼にハマっている気がする

DXとかいう最先端を追う前に、まずは「普通」を目指したほうが良いのでは・・・

つうことでつづく

市長と副市長である

前の会社では・・・

東京オフィスから取締役が来るたびに、丁重にゴアイサツ申し上げていたが・・・

言うまでもなく、そんなものの比ではない

大層ビビりながら・・・

（今日、新品の靴で来て良かった～～～）

激しく安堵する気持ちもありながら・・・

秘書担当のやつと広報担当のやつと後なんか知らんやつとで・・・

ゴアイサツの運びとなった

まずは市長のゴアイサツである

「市長室」

そんな名前の付いたイカつい部屋に通され・・・

待つこと数十秒

「市長の○○です」

強い霊圧を纏った男が現れた

（今まで全然感じなかったが・・・近くで見るとやっぱり貫禄あるな・・・）



ゴゴゴゴゴ・・・！！

マンガならそんな効果音が付くだろう

穏やかだが、スゴみのある渋い声

前の会社の取締役・・・ダブスタ親父と呼んでいたが、あんなのの比ではない！

そんな市長にビビりながらも・・・

秘書と広報とあとなんかで合計10人ほどのメンバーだが

ゴアイサツを順番に申し上げた

さて

市長の次は副市長である

３人ほどいるのだが・・・そっちも副市長室、というのがそれぞれにあるため、ゴアイサツを申し上げに言った

選挙と言うプロセスを経るかの問題だろうか？

副市長からは、市長のような霊圧は感じられず・・・なんというか普通の人という気がした

つーことでなんとか無事にゴアイサツも終わり・・・

いよいよ、本格的に仕事を始めることとなった

つうことで

つづく！

「本庁　広報担当」

というわけで・・・

予想外過ぎる配属になった俺

（大丈夫だろうか・・・）

ビビりながら・・・


（画像は半沢直樹の東京中央銀行）

レトロな本庁舎に入った

（まさかここで働くことになるとはな・・・）

前を通りがかったりしたことはあったが・・・

真面目に入るのはほぼ初めてである

つうことで階段で最上階まで上がり・・・

（入って・・・良いのか・・・？）

厳ついドアの前に着いた

いや、ドア自体は厳つく、荘厳な空気を醸しだしていたが・・・

何気に座席表がセロテープで雑に貼り付けられており、全然おしゃれではなかった

ビビりながらドアをくぐると・・・

（暗っ！？）

なんと執務室の電気は真っ暗

停電中か？

とさえ思ったが

どうやら、定時にならないと明かりがつかない仕組みらしい

そんな暗い執務室の中、誰が広報の人か分からないので、とりあえず片っ端から挨拶しまくる俺

すると

「あ、こっちですよ～」

俺に気が付いたらしい

俺のロッカーとデスクを案内してくれた

（ここが・・・今日から俺のデスクなのか！）

・・・

おしゃれな庁舎とは裏腹に・・・

ボロい机

引き出しに至っては錆びている

椅子も汚い

そして極めつけが・・・

（このPCで仕事するの！？）

古ぼけた・・・だけならまだ良いが

手垢が染みついて変色しているPCである

（普通に触りたくない・・・）

こんなに汚いのなら、事前に教えて欲しいものだ

クイックルワイパーでも持ってきたのに！！（実際、翌日クイックルワイパーで拭いた）

とまあこんな感じで、俺史上最大にボロく汚い備品に囲まれ・・・

圧倒されている間に始業時間が来たようだ

メロディー・・・のようなものが流れ

とりあえず、まずは課長から全体へ紹介があった

今回、広報に異動になったのは俺含め４人

他３人は入社三年目とか四年目のやつであった

新卒の一発目の部署にはなりにくいらしいが、中途だと一発目に広報というのはよくあるらしい

そんなこんなで挨拶も終わり・・・

仕事開始だぜ！！

なんて思っていると

「昨日ホンマは言うとくべきやってんけどゴメン！この後市長と副市長に挨拶しにいくから！」

と

藪から棒に・・・

係長から衝撃的な発言があった

え！？！？！？！？！

ま！？！？！？！？！？！？

市長と副市長に・・・

ゴアイサツかますの！？

つうことで・・・

つづく！

岐阜県関市は刃物の町である

包丁みたいな一般的なものはもちろん・・・

刀屋も多く存在する

差し詰め、「刀鍛冶の里」！



そんな関市に・・・

俺の知り合いが真剣を買いに行く、というので付いていくことにした

というのも・・・

100人規模の各大学居合道部OB達のグループがあるのだが・・・

そのメンバーの中に刀屋で働いているやつがおり、そいつの店で刀を買うという運びになったのだ

つうことで新幹線で名古屋まで移動し・・・

迎えに来てくれた車に乗り込む

そうして車に揺られること一時間半くらいで・・・刀鍛冶の里に到着である！

刀屋に入るやいなや、社長への挨拶もそこそこに奥へ通される

（店構えとしては、表は店、奥は工房という風になっている）

刀の製造スペースが別にあるのか、工房では一般的なイメージの「炉」みたいなやつとか、鉄を叩くやつとかはなく・・・

代わりに研ぎかけの刀や作りかけの柄など・・・

どちらかというと、刀の修理や調整を行うスペースのようであった

「ささ、それっぽいの片っ端から持ってきたから、遠慮なく見てみて！！」

今回、俺は買うワケではないのだが・・・

どうやら好きに素振りして良いらしい

20本ほどの刀を並べられた

ちなみにお値段はどれも一振り70万円ほどである

20本だから1400万円ほどの光景

若干ビビりながらも、取り敢えず手に取ってみる

刀・・・特に真剣というのはいわずもがなピンキリである

切れ味はもちろん・・・

反りの深さ、刀身の長さや重さ、重心の位置、振ったときの風切り音etc...

色んなものがある

取り敢えず、非力な俺は軽めの物を手に取った

嗚呼・・・真剣は握っただけで気が引き締まる

折角なのでそのまま振ってみる

ヴォン！！

風切り音が響く

この感覚・・・

なんというか・・・

模擬刀にはない・・・人が殺せるビジョンが見える・・・とでも言おうか

真剣の感覚！である

が

（どうもビビッと来ない・・・）

悪くはないが

次行ってみよう！

シュン！！

さっきとは違う風切り音

なんだか音が鋭くなった気がする

（結構アリだな・・・）

なんて思いながら振りまくり・・・

20振りくらいあった内、良い感触だったのが2振り見つかった

なんだかここまで好きに見させてもらった手前、買わずに終わるのはいけないような気もするが・・・

（いかんせん、70万である・・・）

それに師範からは

「真剣はもうちょっと待て」

と言われている

丁重にお断りし、買うのはまだ今度にした

（幸いにも俺と一緒に来たやつはそのまま70万の刀を買ったため、体裁的にも何とかなった）

新卒の頃にあの自動車メーカーにさえ入らなければ・・・

自社製品を買わされることもなく・・・真剣くらいの値段は余裕で節約できたのだが

事あるごとにあの会社にいたことを後悔する

つうことで

つづく！！